幅広い世代に愛される人気漫画家いくえみ綾先生。繊細な心の動きと高い画力、お洒落で憎めない人物描写が人気の漫画家さんです。
いくえみ綾先生は学生時代から漫画家デビューし、2020年現在、プロ漫画家暦40年超の大御所です。
これまで発表した作品数は60作品以上。「こんなにある中でどれを選べばいいの?」と迷う方も多いのでは。
そこで、いくえみ綾ファン暦20年の筆者が、独断と偏見で「絶対読んだ方がいい」と思う作品をランキング形式で紹介します。
ちなみに、今回は「大人の女性」におすすめする作品、というコンセプトでおすすめランキングを作りました!
約40年前である、1981年から漫画家として活躍しているいくえみ綾先生の作品の中で、1作品だけ選ばないといけないとしたら、必ずこの作品を選びます!
中盤以降のいくえみ綾作品の、お得意のパターンとなっているオムニバス形式で物語は進んでいきます。
全編を通じて、主役と言える「カンナ」とその関連する人物たちの人生の煌めきを感じられる秀逸な作品になっています。
カンナは多感な学生時代に、幼なじみの少年を亡くしてしまいます。カンナ以外の人間も、何かを無くしたり、何かが欠けていたりと、喪失感を感じている人間が多く登場します。
それでも、日常の人生を一生懸命いきて、誰かと出会い、幸せになっていく様は、じんわりとした愛おしさと感動を覚えます。
「潔く柔く」のいいところは、なんと言っても読後感がいいところでしょうか。
いくえみ綾作品は、未来を曖昧に見せるというか、読者に想像させるような終わり方をすることが多いのですが、「潔く柔く」は比較的、読者が望む形で終わっていると思います。
命や喪失という少し重いモチーフを扱っているので、明るくハッピーな空気感ではないのですが、それゆえに大人の読者には絶対におすすめできる作品だと思います。
オムニバス形式の「潔く柔く」は、どのキャラ、どのエピソードが好きか、推しはそれぞれだと思います。好きなキャラやエピソードを友達同士でディスカッションするのも楽しいですよ。
「潔く柔く」を読むときの注意点としては、最初が面白くないとしても、3巻くらいまで我慢して読んで欲しい!ということです。
個人的には、後半にいけば行くほど、面白くなり、キャラも魅力的になっていきます。
「あ、この人、あそこで出てきたあのキャラだ!」と話がつながっていくので、どんどん読めていきます。
是非是非、最後まで一気に読むことをおすすめします!
由麻は通学電車で痴漢に悩まされている。同級生のスワは由麻を守るため一緒に通学し、2人は付き合い始めることに。だが、由麻は毎朝同じ電車に乗る生物教師の梶間が妙に気にかかり…。
いくえみ綾作品の中では、地味な存在の本作品ですが、実はめちゃくちゃいい作品。隠れた名作だと思います。
いくえみ綾作品の主人公級の女性の特徴として、すごく美人でモテる女の子か、もしくは普通のどこにでもいるような誰でもないような存在の女の子であることが多いです。
本作品は、後者の何者でもないフリーターの女の子が主役です。
こういう、特に特徴があるわけではない女の子が少女漫画の主役になれる点が、いくえみ綾作品のすごいところだと思います。
別段ドラマチックなこともない、平凡な毎日を過ごしている人の心にじんわり滲みる作品になっています。
晶子は18歳のフリーター。恋人、友達、仕事というそれなりの日常の中、心は何故か満たされない。そんなある日、偶然、漫画家の友人からバイトを頼まれて…。明日へ繋がる不確かな今日。
主人公のぼんちゃんはぽっちゃり系女子。そんなぼんちゃんが、高校卒業をして年上男性に恋をしたことから話は展開します。
恋をした相手はバーのマスターをしているお洒落で優しい年上男性。これまで見た目はモテ系ではなかったぼんちゃんがダイエットや恋愛を頑張っていくことになります。
ぼんちゃんはモテ系女子ではないけど、頑張り屋さんで素直な性格で、応援したくなるような愛おしい性格をした女の子です。
読者はぼんちゃんの恋愛や成長を「がんばれっ」と思いながら読み進めていかずにはいられません。ぼんちゃんの恋愛の結末もとても可愛らしく、読み終わった後「いい作品だ」と思える作品です。
この作品は、漫画雑誌ではなくファッション誌の「ジッパー」で連載していた作品です。ぼんちゃんのきれいになっていく姿を読むと、おしゃれに対するモチベーションがアップすること間違いなし!
18才、フリーター、彼氏ナシ…このままじゃヤバイかも!?高校卒業後、レンタル店で働きだした白河つぼみ。初めての男友達、年上の気になる人の出現に今までの自分から変身することを決意する!共感度100%、変わりたい乙女たちへのメッセージ。
伊坂幸太郎の同名小説をいくえみ綾がコミカライズした作品です。原作は伊坂幸太郎になりますが、いくえみ綾らしさは建材。
伊坂幸太郎本人も「これはいくえみさんの作品です」と後書きで語るほど、いくえみ綾のエッセンスが抜群に効いた仕上がりになっています。
いくえみ綾お得意のオムニバスドラマ形式で、各主人公たちが己の人生を一生懸命生きている姿に心打たれます。いくえみ綾の人間ドラマが好きな人にはおすすめの1冊です。
「出会い」が紡ぐ──愛とか、恋とか。 素敵な出会いを探すサラリーマン、妻に出て行かれた中間管理職、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL、100円で歌のフレーズを提供する男……人生は楽しいことばかりじゃないけれど、道路工事の現場で、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。 情けないけど、愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。それは、ごく普通の人たちが巻き起こす〝小さな奇跡の物語〟──
主人公は売れない俳優の男性です。主人公だけに見える謎の幽霊(?)と思われる少女が出てくるなど、少しファンタジーチックな不思議なお話です。
ファンタジー設定が苦手な人は少し戸惑う始まりかもしれませんが、そこはいくえみ綾の力量でグイグイ読ませてくれます。
主人公はどこか掴めない性格をしていますが、読み進めるにつれて人間味を感じられ、彼を応援したくなります。
登場人物たちに「よかったね」と言いたくなるような爽やかな読後感。男性にもオススメできる作品です。
「売れない役者・清武迪(きよたけすすむ)のアパートの隣の部屋に引っ越してきた、元同級生の日下苑(くさかその)。そして迪だけに見える謎の少女。彼女たちの歌が、迪の日常を揺り動かしていく……。この世の片隅で紡ぐハーフビター・ラブソング。
いくえみ綾の代表作の1つがこの「バラ色の明日」でしょう。
個人的には2000年代のいくえみ作品が好きなので、このランキングにしましたが、この作品が一番好きだというファンも多いはず。
この作品以降、明らかに変わったという印象が有り、現在のいくえみ綾の原点がこの作品だと思います。
作品は短編集になっていますが、現在のいくえみ綾が得意とするオムニバス形式になっている部分もあります。
全編通して、ほの暗いイメージの作品も多く恋愛色が比較的薄いのもこの作品のポイント。いわゆる「胸キュン」的な少女漫画から逸脱した作品です。
「この作品を読んで好きだと思った人は、いくえみ綾が合う人です!」と言い切っていいほど、いくえみ綾が好きな人ならみんな好きな作品。
1冊目にもオススメです。
いくえみ綾の得意分野である「家族モノ」の中で、私が最もオススメするのがこちらの作品。
いくえみ綾らしく、主人公は話によって変わり、それぞれの視点で楽しむことができます。家族一人一人が魅力的で、それぞれを愛しく感じられる内容になっています。
もちろん、恋愛漫画としての面白さもあります。その上、家族モノの胸が暖かくなるエピソードも豊富で、「いくえみ綾の作品」としてのバランスがとてもよい作品です。
何度読み返しても、心がじんわり暖かくなる良作です。
騒々しい日常を送る7人の大家族・羽上家。 ある日、長男・顕が部屋に幽霊が出ると家に戻って来たことで、長女・ひろのの友人・深町が心霊ツアーを企画した!? マイ・フェイバリット・ファミリー。
まとめ
第7位「かの人や月」 | ||
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